みなさん、こんにちは。
今日はこの秋一番の冷え込みとのことで、朝の空気がちょっと引き締まった冷たさがありましたね。
混合ワクチンと集団免疫について、ちょっと興味深い話がありましたので、ご報告いたします。
某有名製薬会社が犬のワクチン接種の実態調査を行いました。
その結果、約50%の飼い主さんが1歳時の接種を最後に、その後のワクチン接種を中断しているとのことでした。
犬の混合ワクチンの接種率は、全国平均47.1%。
この数値は、伝染病の流行がなくなるとされるワクチン接種率75%(シャルル・ニコルの法則)に達していません。
シャルル・ニコルの法則とは、『集団動物の約75%にワクチン接種すれば、伝染病の流行はなくなる』というものです。
たとえば、ある地域全員で特定の病気に対してのワクチン接種を行った場合、ワクチン接種した個々だけでなく、その地域全体のワクチン接種率が高まり、集団で高い免疫を有することになります。
このようにワクチン接種をした限られた地域(集団)へ病気の侵入を阻止する力を「集団免疫」と呼びます。
集団免疫を有する地域では、その病気の発生する可能性が低いので、ワクチンの接種を数年に一度、または生後1年以内の接種だけで免疫を維持することができます。
以前から、私は日本のワクチン接種率はまだまだ低く、集団免疫と呼べる高い免疫能を獲得できていないと考え予想していました。
そして、この調査結果をみて、やっぱりまだ混合ワクチン接種率が全国的にみても47.1%、関東地域でみても48.0%と低いことがわかりました。
これは調査に参加した人の回答から得られた数値で、実際のペットフード工業会の犬猫飼育率全国調査の数から算出すると、全国の犬のワクチン接種率は28%程度ではないかと予測されるとのことです。
「犬のワクチン接種は、3年に一度でいいと言われました。先生はどうですか?」という質問を受けることがありますが、私は「このあたりでは、まだまだ地域全体としてのワクチン接種率が高くないので、ワクチンの効能通り、年1回のワクチン接種をお勧めします。(だって、集団免疫ができてないからね。)」と答えています。
アメリカではワクチン接種が3年に1度でよいという話を聞きますが、それはこの集団免疫の話が基になってるんですね。
日本でも、集団免疫が上がればワクチン接種回数が減るだけでなく、伝染病でなくなる命が減ります。
自分の体のためのワクチン接種が、実は「みんなのため」に繋がっているんです。
動物と共存する社会のマナーの1つと言えるでしょう。
ぜひ、みなさん、初年度ワクチンだけで終わらせず、しっかり追加ワクチンも接種して、地域の集団免疫を向上させ、伝染病の流行を防ぎましょう!
今日は、ちょっとまじめなお話でした。